『潜水服は蝶の夢を見る』を観て・・・

kui22008-04-20

 少し前のこと、夫に息子氏を預け、久しぶりに映画を観に行った。そこまでして観たかった映画は、『潜水服は蝶の夢を見る』。ELLE誌編集長だった男性が突然、脳梗塞に倒れ、ロックト・インシンドローム(閉じ込め症候群)になってしまう。意識は清明だが、身体が麻痺し、動くのは左目だけ。その左目の瞬きでコミュニケーション方法を獲得し、綴った自伝を映画化したものである。

 この映画には、言語聴覚士(映画の中では、言語療法士となっていた)が登場する。最初は、自分の仕事が映画でどのように描かれているのか観てみたいという軽い気持ちで観に行ったのだけれど、話が進行していくうちに、これまでワタシが関ってきた患者さんのことを色々と思い出し、複雑な思いで画面を見ていた。

 重い後遺症を持つ患者さんに対して、生きる希望が持てるような訓練や接し方を、どれだけできただろうか。この映画の主人公が発していたような、言葉にならない心の声を、どれだけ聞き取ろうとしていただろうか。

 この春は色々考えた末、就職しないことにした。でも、いつか必ず復帰したい。そしてその時が来たら、この本を手元に置き、耳を澄まそうー患者さんの心の声を聞き取れるように。